応用行動分析学でトリミングをスムーズに。
「共にわんこを育てる」トリミングサロン
大阪府泉大津市にあるとりみんぐ処haloの代表、米良です。
先日から「応用行動分析学」の講義を学び初めましたので、ブログでアウトプットしようと思ってます。
応用行動分析学を学ぼうと思ったのは、当店で子犬からのトリミングトレーニングを始めるにあたって、わんこの行動についてより深く学びたいと考えたからです。
応用行動分析学(Applied Behavior Analysis)、略してABA(以下ABAと書きます)は子どもたちへの教育にも活用されています。
心理学の分野の一つで、動物や人の行動の法則を用いて問題解決に取り組む学問です。
生物学の分野に動物行動学というものもありますが、それとは違う学問だそうですよ。
動物や人の行動の法則ってなに?ってなわけですが、わたしもまだ全然わかりません。
それをこれから学んで行きます。
しかし、「まだ分かりません」ではまったく面白くない記事ですので、前回学んだことを私なりに記載していこうと思います。
この記事に対してのご指摘やご意見もお待ちしております。
皆さんとより深く学びあえたら嬉しいです。
ABAの考え方
大まかな説明や循環論を避ける。
「ごはんを食べるのはお腹が減っているからだ。」
そりゃ、そうだよなって思いますよね。
ごく当たり前なことのように思います。
けど、説明としては大まかすぎます。
別にお腹が減ってなくたって食べることもありますよね。
筋トレをしていてタンパク質摂取のために食べているのかもしれませんし。

Q:猫が水を飲んでいるのはなぜでしょう?

?・・・そりゃあ、喉が渇いてるからじゃない?

ではなぜ、喉が渇いているとわかるのでしょう?

水を飲んでるからでしょ! (チッ! いちいち拡声器を使うなよ。)

・・・って、あれ?
あれれ〜?最初の質問に戻ってますね。
これを循環論と言います。問題は解決しそうにないですね。
猫が水を飲んでいるのは真実ですが、なぜなのか?まではわかりません。
ABAでは、猫が水を飲むのは何かの結果(環境変化)が起こったから行動したと考えます。
飼い主さんが合図(刺激)を送ったら水を飲むように訓練していたのかもしれませんよね。
行動に至るまで何かしらのトリガーがあるということです。
ペットを擬人化しないこと。
とても論理的に考えるので、気持ちや心情はかえって邪魔になります。

うちのこは寂しいと留守中にイタズラをして嫌がらせをするのよ。

ほんとにー? 猫がそう話したの?

チッ! 何こいつ? 私にはなんとなくわかるのよ!
実際にこんな会話があれば、二人は決して仲良くはなれないでしょう。
しかし、ABAは青い服の人寄りの考えです。
猫さんがイタズラをするのは何かしらの環境の変化(刺激)が起こったからに他なりません。
しかも、イタズラというのは主観的ですし、寂しいという感情や嫌がらせをするってすごい高度な思考回路が必要になるわけです。
我が家にもねことわんこがいますので、こう考えてしまう気持ちはとてもわかります。
しかし、感情的に原因を当てはめちゃうと、真の意味で愛犬に寄り添えていないことになってしまいかねません。
それを解決するには愛犬が行動を移す前後に何が起こっているのかをしっかり観察し、論理的に考えるが必要があるということです。
優位性行動学の解釈や定義を当てはめない。
犬が人をなめているから言うことを聞かない。
ということもよく耳にします。
優位性を示すために体罰や脅すのもABAではNGです。

今ではわんこと人の間に順位付けが起こらないということも明らかになってきているのです。
そもそも順位付けをするのであれば、ペットとしては全く向いていないということにもなります。
常に順位争いをしなくてないけなくなりますから。
家族でもペットでもお互いを尊重し尊敬できる相手だからこそ一緒にいたいと思えるのではないでしょうか?
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上。
”QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、生活の質や人生の質を意味する言葉です。身体的、精神的、社会的、経済的な面で、個人が自分らしく充実した生活を送ることを目指す考え方です。”
GoogleのAI
と、GoogleのAIさんが教えてくれたので、そのまま引用しました。
ペットたちの生活の質の向上ってどんなことが挙げられるんでしょうね。
おいしいごはん?
温かい毛布?
健康で長生き?
たしかにこれらは生活の質を上げることになりますね。
では、ABAがペットたちにどのようにQOLの向上をもたらすのでしょうか?
アニマルウェルフェアという考え方
アニマルウェフェアとは日本語で言うと、動物福祉と言われるものです。
動物たちの生理的欲求・栄養的欲求・行動的欲求・社会的欲求が満たされ幸福な状態であることを目指すことです。
つまりは生きている上で、身体的にも精神的にも苦痛を強いられないように本来の習性にあった生活を営めるようにする考え方ですね。
それを実現するために5つの自由というものが存在します。
5つの自由
- 飢えと乾きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・障害・病気からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
ここで言うところの「自由」というのは制限を受けないという意味に近いかと思います。
このアニマルウェルフェアは元々、家畜などの産業に使われる動物たちのために作られました。
家畜として育てられ、人が食べ物を得るために使われる命をできる限り尊重し、ストレスの少ない環境下で飼育して行こうという働きです。
その後、アニマルウェルフェアの考え方はペットたちにも波及していったのです。
この5つの自由の中で、ABAが担う役割は恐怖や抑圧からの自由というところかと思います。
決して無理はぜず、抑圧のない方法で動物たちの本来持つ行動をコントロールします。
動物園や水族館で用いられるハズバンダリートレーニングにも応用されています。
行動とは
主に行動には2つの種類が存在します。
行動の種類
- 生得的な行動
- 習得的な行動
生得的な行動とは
- 走性
昆虫や魚が明るいところに集まる。 - 無条件反射
食べ物を食べると唾液が出る。汗をかくなど。 - 本能行動
狩猟彩食行動・天敵回避行動・排泄行動・性行動など。
習得的な行動とは
- 刷り込み
生まれたばかりの雛が親鳥を見て親の行動に従うようになるなど。 - 馴化
慣れること。 - 条件反射
本来反射が起こらない刺激に対して、学習によって反射が起きるようになること。
例:梅干が酸っぱいと学習しているので、唾液が出るという反射が起きる。 - オペラント条件づけ
主に今回の講義で学んでいく項目です。
オペラント条件づけ
私が、今回の講義で主に学んでいく、オペラント条件づけについて話していきましょう。
オペラント行動
行動のあとの環境変化によって、その生起頻度が変化する行動。
つまり、どういうことだってばよ・・・?
ちょっと例文を出してみましょう。
例文
猿が木を叩いたら、木の実が落ちてきて食べることができた。すると猿は木を叩くようになった。
- 木を叩く
- 行動

- 木の実が落ちてきた
- 環境の変化

- 木を叩くようになった
- 生起頻度の変化

では、オペラント条件づけとは
オペラント条件づけ
オペラント行動の結果を操作することによって、その行動の回数を変化させること。
例えば、先程の猿の例を引用して問題を出してみましょう。
木の実を育てている農場の主がネットをかけて、木の実が落ちないようにしました。猿はどうなったでしょう?
木を叩いても落ちなくなったので、叩かないようになった。
叩くと木の実が落ちるという結果を操作したら、猿が木を叩くという行動の回数が変化しましたね。
というように、行動のあとの結果の操作で対象の行動を減らしたり、増やしたりすることができるのがオペラント条件づけです。
こういった、行動と結果の関係のことを行動随伴性と言います。
行動随伴性
- 正の強化
- 負の強化
- 正の弱化
- 負の弱化
私が前回の講義で教わったのは正の強化についてですので、そこまでのお話をしていきましょう。
正の強化
動物の行動の直後に刺激が現れて、その行動を繰り返すようになった場合の行動随伴性のこと。
ここで用語も挟んでおきましょう。
強化
行動を繰りかえすようになった場合の行動随伴性。
強化子
行動の直後に随伴すると、行動を繰りかえすようになる刺激。
正
行動の直後に刺激があらわれること。
なんだかややこしいので、分かりやすいようにワンちゃんに登場してもらいましょう。
例文
お散歩していたわんこのラッキーくんは、ご主人が立ち止まったら横で止まりました。するとご主人がおやつをくれました(正)。
横に止まることを繰り返す(強化)ようになったので、ご主人はラッキーくんが自分の横に立った時におやつをあげる(強化子)ことにしました。
そうするとラッキーくんはご主人が立ち止まった時に横で止まることが増えました。
- 飼い主さんの横で止まる
- 行動

- おやつが出てきた
- 正(行動のあとに刺激があらわれる)

- また横で立ち止まった。
- 強化(行動の繰り返し)

- おやつが行動を増やす刺激だと分かった。
- 強化子

- 横で立ち止まったら、おやつを与えるのを繰り返した。
- ご主人が立ち止まったら、ラッキーくんが横で立ち止まるようになった。
- オペラント条件づけが成立(正の強化)

正の強化が成り立った時の強化子のことを正の強化子と言います。
おやつはラッキーくんにとっての正の強化子となるわけですね。
負の強化
動物の行動の直後に刺激がなくなって、その行動を繰りかえすようになった場合の行動随伴性。
用語を挟んでおきましょう。
強化
行動を繰りかえすようになった場合の行動随伴性。
強化子
行動の直後に随伴すると、行動を繰りかえすようになる刺激。
負
行動の直後に刺激がなくなること。
では、こちらの例題でもラッキーくんに登場してもらいましょう。
例文
飼い主さんはラッキーくんが大きな声で「ワン!」と吠えると、「コラ!」と叱りました。
そうするとラッキーくんは吠えるのをやめました(負)。しかし、しばらくするとラッキーくんはまた大きな声で「ワン!」と吠えます。
そうすると飼い主さんはまた「コラ!」と叱りました(強化)。するとラッキーくんは吠えるのをやめます(強化子)。
飼い主さんはラッキーくんが吠える度に「コラ!」と叱るようになったのです。
- 「コラ!」と叱る。
- 行動

- 吠えるのをやめた
- 負(行動の直後に刺激がなくなる)

- また吠えたので叱った。
- 強化(行動を繰り返すようになった)

- 叱るとラッキーくんが吠えなくなる
- 強化子(行動の直後に随伴すると、行動を繰りかえすようになる刺激。)

- 飼い主さんはラッキーくんが吠えるたびに叱るようになった
- オペラント条件づけが成立(負の強化)

負の強化が成り立った時の強化子のことを負の強化子と言います。
叱ることが飼い主さんにとっての負の強化子となるわけですね。
今回はラッキーくんのオペラント条件付けではなく、飼い主さんが条件付けされていたので少し分かりづらいかもしれませんね。
このような事例はご経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
叱っても、叱っても問題行動が改善しない。
それどころか、以前よりひどくなっている・・・というようなことはよくあると思います。
私たち動物は大きな音などには無条件に反応します。
今までしていたことをやめて、耳をすませて音の鳴った方を確認しますよね。
それと同じことがラッキーくんにも起きているわけです。
大きな声で叱った飼い主さんを注意して見ているだけで、それに対して「言うことを聞いた」と考えてしまうのは少し早合点かもしれません。
だから、この場合のしつけ方法は失敗していると言ってもいいでしょう。
それどころか、飼い主さんにはラッキーくんが吠えると叱るという条件付けが成り立ってしまいましたね。
これが危険なのは、言うことを聞かないと思ってしまった飼い主さんの行動がどんどんエスカレートしてしまう可能性があるのです。
いかがだったでしょうか?
以上がこれまで学んだことです。
しっかり、と学び実践していけば人とわんこの関係性や生活か豊かになりそうな気がしませんか?
そして、私自身このアウトプットで、ABAをより自身に落とし込めました。
質問や疑問などがありましたら教えてください。みなさんと一緒に学びをより深められたらと思います。
次回の講義を聞いたあとにはブログの更新を行っていく予定です。
ご精読ありがとうございました!
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