こんにちは。
とりみんぐ処haloの米良です。
最近、スレッズ(Threads)などのSNSを見ていると、トリミング業界に関するリアルな声が頻繁に流れてきます。
そこには、トリマーからの悲痛な叫びと、飼い主さまからの切実な不満が、お互いに交わることなく飛び交っています。
✂️ トリマーの叫び
「犬がパニックになって噛んでくる。でも、飼い主さまの注文通りに仕上げなきゃいけない。怪我をさせないか毎日怖くて、精神的にもう限界…」
🐶 飼い主さまの声
「プロにお金を払って預けているんだから、安全に可愛くして返すのが当たり前。それなのに、今回のお店はカットがガタガタだった…」
どちらの言い分も分かります。
誰も悪気はないのに、なぜこんなにも苦しい「歪み(ひずみ)」が起きてしまうのでしょうか?
1. 「いきなり本番」が当たり前という異常
この歪みが起きる最大の原因。それは、「一番大切な『わんこの心』が置いてけぼりになっているから」です。
わんこにとって、知らない場所に連れて行かれ、高い台に乗せられ、鋭い刃物を向けられるのは、恐怖でしかありません。
それなのに、現在のトリミング業界の常識は「いきなり本番」です。
初めて来店したその日に、全身のシャンプーとカットを完璧に終わらせることが求められます。

リラックスできる環境が次のステップへとつないでくれます。
「綺麗に仕上げてほしい」と願う飼い主さまと、「なんとかしてオーダーに応えなきゃ」と無理をするトリマー。
お互いが「可愛く完成された姿」というゴールだけを見てしまい、その過程で悲鳴を上げているわんこの心に、誰も歩幅を合わせられていないのです。
2. 「準備レッスン」が生み出す、優しい循環
だからこそ、haloでは「いきなりハサミを持つこと」をしません。
新規のわんこには、必ず「7日間の準備レッスン」を受けていただいています。
まずはお店という場所に慣れる。僕という人に慣れる。ブラシやハサミという道具に慣れる。
この準備をすることで、初めて「良い循環」が回り始めます。
- わんこ:ここは怖くない場所だと分かり、安心・協力してくれる。
- トリマー:無理やり押さえつける必要がなくなり、心にゆとりを持って安全に施術できる。
- 飼い主さま:愛犬がシッポを振ってサロンに行き、笑顔で帰ってくる姿を見て、心から安心して預けられる。
わんこが安心することで、関わるすべての人に優しい循環が生まれるのです。
3. サロンが正直に伝える責任
この循環を作るために、僕たちトリミングサロンの人間が変わらなければいけないことがあります。
それは、飼い主さまに「耳の痛いことも、正直に現状をお伝えする勇気を持つこと」です。
「今すぐは切れません」「無理にやればこの子に一生のトラウマが残ります」「今回は毛玉を取るために短くするしかありません」
売上を逃すかもしれない。嫌な顔をされるかもしれない。それでも、犬の代弁者として、プロとして、ごまかさずに事実を伝え、飼い主さまと一緒に解決策を考えていく責任がサロンにはあります。
4. 飼い主さまへ、どうか知ってほしいこと
そして、トリミングを依頼する飼い主さまにも、ぜひご理解いただきたい「犬の真実」があります。
「じっとしている」ことの本当の意味
犬という動物は、本来自由に動き回る生き物です。高い台の上で、顔の周りで刃物が鳴っているのに、ただ力で「じっと動かないように」と押さえつけるのは不自然であり、わんこに大きな我慢を強いる状態です。
大切なのは、その姿勢に「意味を持たせてあげる」こと。「ここに立っていると良いことがあるよ」と教えてあげて、わんこ自身が納得し、立っていることが苦痛ではない(安心している)状態を作って初めて、トリミングは安全に行えるのです。
SNSやカタログで見る「完璧で可愛いカットスタイル」。
あれは決して、トリマーの技術だけで成り立っているわけではありません。
「わんこが嫌がらないこと」「苦痛を感じずに協力してくれていること」という大前提の土台があって、初めて成り立つものなのです。

美しいカットは、わんこの「安心」という土台の上に作られます。
5. 共に、わんこの歩幅に合わせて
トリマーも、飼い主さまも、根本の願いは同じはずです。
「目の前のわんこに、幸せでいてほしい」。ただそれだけです。
それなら、人間側の都合で急がせるのではなく、わんこの心に歩幅を合わせてあげませんか?
トリミング前の「準備レッスン」が、特別なことではなく「当たり前の世の中」になること。
それが実現すれば、SNSで悲痛な叫びを上げるトリマーも、悲しい思いをする飼い主さまも、そして何より、トリミングが嫌いで震えるわんこも、きっと減っていくはずです。
急がば回れ。
愛犬の10年後の笑顔のために、
僕たちと一緒に、ゆっくり時間をかけましょう。
