みなさん、こんにちは。とりみんぐ処haloの米良です。
サロンでの毎日は、わんこを綺麗に可愛くカットするだけでなく、
お迎えにいらした飼い主さまと、色々なご相談や世間話をする大切な時間でもあります。
「最近、お散歩で歩かなくなっちゃって…」
「ちょっとした物音ですごく吠えるんです、うちの子」
「お布団をホリホリして、穴を開けられちゃいました(笑)」
そんな愛犬の「困った行動」や「ちょっと不思議なクセ」について
お話ししてくださる飼い主さまの表情は、困りつつも愛情に溢れていて、
私はこのおしゃべりの時間がとても好きです。
そして、そんなお悩みを聞いた時、私がよくお話しさせていただくのが、
「その子(犬種)が、昔どんなお仕事をしていたか」という歴史のお話です。
🐾 問題行動?いいえ、彼らは「仕事熱心」なだけです
ペットショップに行くと、本当にたくさんの種類のわんこたちが並んでいます。
みんな小さくて、丸くて、ぬいぐるみのように愛らしいですよね。
でも、彼らは決して「人間を癒やすためのおもちゃ」として生まれてきたわけではありません。
それぞれの犬種には、何百年も前から人間と共に生きてきた「役割(お仕事)」のルーツがあります。
💡 例えば、ダックスフンドの場合
あの胴長短足の可愛らしいフォルム。あれは「狭い巣穴に潜り込んで、アナグマなどの小動物を狩る」ための、究極の機能美です。
そして、ダックスフンドは体が小さい割に、とても太くて大きな声で吠えます。
現代の住宅事情では「無駄吠え」と悩まれがちですが、本来は「暗い土の中で獲物を見つけたら、地上にいる人間に自分の居場所を知らせるため」、そして「獲物を威嚇するため」に、よく響く大きな声が必要だったのです。
「穴を掘りたがる」「動く小動物を追いかける」「大きな声で吠える」。
これらは、私たち人間が彼らの遺伝子に組み込んだ「立派なお仕事の才能」です。
だから、ダックスちゃんがソファを一生懸命ホリホリしたり、
チャイムの音に大きな声で反応したりするのは、決して性格が悪いわけでも、
飼い主さまのしつけが悪いわけでもありません。
「私、お仕事がんばってるよ!!」
ただ、本能のままに仕事熱心なだけなのです。
この「犬種のルーツ」を知るだけで、愛犬の困った行動が、
なんだか少しだけ愛おしく見えてきませんか?
🐾 「育てやすい」という謎の情報の罠
しかし、今の日本のペットを取り巻く環境には、少し悲しい現実があります。
多くの方がわんこを迎える時、「見た目の可愛さ」や、
ポップに書かれた「抜け毛が少ない」「大人しくて育てやすい」といった
ふわっとした情報だけで決めてしまうことが少なくありません。
「この子は本当に、今の私たちの生活環境に合っているだろうか?」
「近隣の住宅環境(マンションか、戸建てか、賃貸か)で、この声の大きさは問題ないか?」
「狩猟犬のルーツを持つこの子に、十分な運動量(散歩の時間)を作ってあげられるか?」
こういった、「その子の本能を満たし、人と犬がお互いにストレスなく暮らすためのリアルな情報」を、
迎える「前」にじっくりと考える機会が、圧倒的に不足しているのです。
🐾 悩んで、泣いて、後から知るというシステム
なぜ、そんな大切な情報を事前に知ることができないのでしょうか。
それは飼い主さまが悪いわけではありません。
日本のシステムが、「迎えてから初めて知る」仕組みになってしまっているからです。
多くの場合、知識がないまま可愛い子犬を迎え入れます。
最初は小さくて大人しかった子犬も、成長するにつれて「本来の特性(お仕事の才能)」を発揮し始めます。
「こんなに吠えるなんて思わなかった」「こんなに運動量が必要だなんて聞いていない」
そこで初めて、飼い主さまは壁にぶつかります。
ネットで必死に調べ、本を読み、ドッグトレーナーさんやトリマーなどの
プロに出会って、初めて「この犬種は元々そういう性質だったんだ!」と知るのです。
🐾 「こんなはずじゃなかった」が生む悲劇
「思っていたのと違う」というミスマッチは、本当に辛いものです。
それは、人間にとっても、わんこにとっても、お互いに幸せな状態ではありません。
飼い主さまは、毎日吠え声に気を遣い、ご近所トラブルに怯え、
理想の生活とのギャップに疲弊してしまいます。
わんこの方も、本能のままに行動しているだけなのに毎日怒られ、
欲求を満たしてもらえず、大きなストレスを抱えることになります。
そして最悪の場合、「もうこれ以上、飼い続けることはできない」と、
飼育放棄や手放すという、最も悲しい結末に繋がってしまうこともあります。
誰も悪気はなかったはずです。わんこはただ懸命に生きているだけ。
飼い主さまも、幸せな暮らしを夢見てお迎えしたはずです。
ただ、「正しい情報を知る機会」がなかっただけで、こんな悲劇が起きてしまうのです。
🐾 伝える責任と、一緒に創りたい未来
私は、この現状を変えなければいけないと強く思っています。
それは、「飼う前にちゃんと勉強しなさい!」と飼い主さまに説教をしたいわけではありません。
命を送り出す側、そして私たちのように命に関わるプロフェッショナルである
「動物業界全体の責任」として、もっともっと「伝える努力」をしなければならないと感じているのです。
可愛い部分だけでなく、「この犬種を迎えるということは、こういう大変さもありますよ」
「あなたの今のライフスタイルなら、この犬種よりも、あちらの犬種の方がお互いに幸せになれますよ」と、
専門家として正直に、誠実にアドバイスできる社会。
そんな「リアルな情報」が当たり前に手に入る世の中になれば、
「こんなはずじゃなかった」と涙を流す飼い主さまも、行き場を失うわんこも、
きっと今よりずっと少なくなるはずです。
「人と犬が、本当の意味で幸せに共生できる世の中へ」
とても大きな目標かもしれませんが、私は諦めたくありません。
サロンに来てくださる優しい飼い主さま達とお話していると、
「みんなで少しずつ意識を変えていけば、絶対に未来は変わる」と信じられるからです。
今、隣で無邪気に眠っている愛犬を撫でながら、彼らのルーツに思いを馳せてみてください。
そしてもし、これから新しくわんこを迎えようとしているお友達がいたら、
ぜひ「犬種の特性とライフスタイルの相性」について、一緒にお話ししてみてあげてください。
私たちhaloも、お手入れの技術を磨くだけでなく、
わんこの「心」と「ルーツ」を伝える通訳者として、これからも発信を続けていきます。
誰もが笑顔で「この子を迎えて本当に良かった!」と言える世界を。
ぜひ、皆さまと一緒に創っていけたら嬉しいです。
